■ 透明になる |
ラフ調合の面白みを覚えたリリーは、採取のさい、図鑑にはのっていないけど錬金術に使えそうな材料をついでに集め始めた。もちろん未知の調合をためすためである。その使えそうな材料の中に、とある木があった。手でくにゃりと曲げられるほどやわらかい木なので、なにかの細工に使えると持ってきたのだが、しばらくすると曲げた部分がまっすぐ元通りになってしまうのだ。なにがどうしてそうなるのかは分からないが、なんだか面白い効果がでそうなので、とりあえずいろいろな材料との調合をためしてみた。 そうして出来上がったものの中に、1つの薬瓶があった。もちろん図鑑にはのっていない、リリーのオリジナルだ。しかし、作った本人にさえどのような効果がでるのか分からなかった。 「毒が入ってるわけじゃないんだから、有害ということはないのよね〜」 リリーはしばらく、瓶に入った、鈍く光るとろっとした液体をながめた。調合に使ったのは、あのくんにゃり木(仮名)と常備薬、少々の中和剤(緑)だ。たいした材料でないかわり、大きな効果があるとも思えない。なので、自分で試してみることにした。念のため、お手伝いの少女のイングリドとヘルミーナに立ち会ってもらう。 「先生、薬じゃないんですか?だったら体の具合が悪いときじゃないと、効果が分からないかも」 「でも具合が悪いときにためすわけにもいかないし…ちょっとどんなものだか飲んでみるだけよ」 そう言うと、リリーはコルクのふたをあけ、遠慮がちに一口飲んだ。味は、森の空気のかすかに香る、清涼感のあるものだった。しばらくの間3人は、じっとだまってなにか変化がないかとうかがっていた。 「…おかしいわね、何ってこともないみたいだけど」 リリーは自分の調子を確かめるように体のあちこちに手をあてた。 「しいていえば、少しのどがすっきりしたかもね」 「すぐに効果が出ないのかもしれませんよ」 そうしてまたしばらくの間、3人は様子をみていた。しかし本当に、これといってなにもない。リリーはいつもと同じだ。ただの薬と変わらなかったのかな、とリリーが言うと、2人の少女もそうなのだろうと納得した。 3人はすぐにその薬瓶のことを忘れて、リリーはまた、新しい調合に夢中になった。 それから数日後、ある曇りの日のこと。仕上がった依頼品の包みを持って、リリーは久しぶりにザールブルグ一の酒場、金の麦亭を訪れた。しかし、年中冒険者でにぎやかなこの店は、その日うそのように静まりかえっていた。 「どうかしたんですか?」 不思議に思って顔なじみのマスターにたずねると、いかにも荒くれどもを束ねそうなこの酒場のぬしは、いつもの豪快な声の調子を数ランク落として答えた。 「姉さん、黒の乗り手って知ってるか?」 リリーはふるふると首をふった。最近は調合で工房にこもりきりなのだ。マスターはそうか、と溜息をはくと沈痛な面持ちで話し始めた。なんでも、最近街道に“黒の乗り手”と呼ばれる怪物があらわれ、それに会って生きて帰れるものはほとんどいないということだ。 「ちょうど黒の乗り手があらわれたころだと思うが…街にも体調を崩す奴が増えてな。ここも開店休業状態ってわけだ」 そしてあたたかい眼差しで、姉さんも気をつけてくれよ、とつけくわえた。 外に出たリリーは、街の広場、いつもにぎやかな大通りをぐるっと見回してみた。天気のせいとばかり思っていたが、そういえば街の空気もどことなくよどんでいる気がする。湿り気をおびたそれは、目に見えないかすかなおもりのようになって、人々にまつわりつく。そして街中に不安という暗雲をたちこめさせていた。こんな時こそ錬金術師の出番だ。リリーはそう強く感じて、酒場からほど近い教会へ向かった。歴史ある、医薬の女神アルテナをまつったその教会は、病院の役割もかねているのだ。 案の定、中は人でいっぱいだった。大きな大理石の柱の影には、咳き込む男性、だるそうに座り込む子供、お年寄り…。ぐったりとした赤ちゃんを心配そうに抱え込む、若い母親も見えた。いつもは広い聖堂いっぱいに整然とならぶ机は無くなっていて、代わりに簡易ベッドがしつらえてある。普段はおごそかでおだやかな祈りに包まれた教会のあまりの様子の違いに、リリーの胸は早鐘を打った。なんでこんなことに。しかし原因を考える前に、今すぐに自分ができることがある。 走ってアトリエに帰ると、手元にあるありったけの薬をかごに詰め込んで、教会に戻った。 灰色の厚い雲がすべての空をおおい、あたり一面薄暗かった。石造りの教会は、その白い石をさらに白く浮き立たせて見え、水に沈んだ昔の神殿のようだ。 再び喧騒のあふれる教会の扉をたたいたリリーは、ベッドの森の間にクルト神父を見つけた。いつもはサラサラの黒髪が少しパサついていて、彼の疲労をしめしている。でもその表情は、いつもと変わらずおだやかだった。その様子に、ホッとする。リリーはかごごと薬の山を差し出した。 「こんなに沢山…なんとお礼を言ったらいいか…」 クルトは呆然とした様子でリリーを見つめた。 「こんな時は、助け合わなきゃ!ほら、患者さんが待ってますよ」 背中を軽くぽんとたたくと、クルトは「ああ、そうでした」と我に返り、お礼は後日必ず、と言って急いで患者の待つベッドに向かった。 良かったなぁ…。 リリーは心から感じていた。クルト神父が錬金術を認めてくれて、本当に良かった。自分になにか出来ることがあって本当に良かった。錬金術があって、本当に良かった。 外に出て、空を見上げて思った。ただ悲しみを待っているだけじゃなくて、人間になにかをするすべがあることが本当に良かったと。 「先生、お客さんですよ」 アトリエに帰ったリリーを、にこにこ顔のイングリドとヘルミーナが出迎えた。 「リリー、こいつら、勘弁してくれよ…」 へんくつな雑貨屋店主が、長い腕をテーブルに伸ばして、だるそうに椅子にすわっている。 「いらっしゃい、ヴェルナー。依頼かしら?」 ヴェルナーは口を開くのもたいぎそうだ。 「ああ…ここんとこあまり具合が良くなくてな、なにかいい薬はないか?」 「それなら教会に行けばいいのに〜」 すかさずイングリドがはやしたてる。 「教会は好きじゃねぇんだよ」 うんざりといった様子だ。 「えっ、薬なら、今さっき全部教会に持って行っちゃったわ!」 リリーはしまった、と口に手をあてた。 「おまえ…少しはあとのこととか考えないのか」 「……」 家族が体調を崩すことだってあるのに…。リリーの体は傾いて行き、心は海に沈んでいった。 「ヴェルナーさん、ひどい!リリー先生は思い込んだら、そのことしか考えられなくなるんですよっ」 「そうですよ、重病の患者さんのほうが薬は先に決まってるじゃないですか!」 「あー、もう、耳元でキンキンうるせえな!」 リリーは呆れ顔で3人を見ていたが、イングリドの言葉に励まされ、気力を回復した。 「でも、もしかしたらどこかにまだ残ってるかも。ちょっと待ってて、探すから」 書き散らかした紙が無造作に詰め込まれた机の引き出しをまるごと取り出して、中をあさってみると、運良く奥に一つの薬の瓶がみつかった。 「あぁ、良かった!」 しかし安堵したのはヴェルナーも一緒だった。このアトリエに来たころから、二人の少女に散々質問を受け大変だったのである。大抵の質問は、答える義理はないと流したが、女の子ってのはどうしてこう人のことをあれこれ知りたがるんだとまったくいぶかしかった。 「安静にして、寝とくのよ!」 瓶を渡したリリーは、そう言いつけた。ふらふらとした背中が坂の向こうに消えていくのを見送る。あんなに弱々しそうな彼を見るのは数年前の竜の化石がどうのという事件以来だろう。 やっぱり、大本の原因を探らないと。いつまでも薬を作り続けることになる。でも、ひとまずは良かった。 しかし、リリーはなんとなく不安で落ち着かなかった。夕飯の支度をしながらも、気になってしょうがない。 「ねぇ、イングリド、街のみんなの病気の原因って、“黒の乗り手”かもしれないのよ。フェニクス薬剤とかで効くのかなぁ?」 イングリドは利発な顔をくるりと向けていった。 「大丈夫だと思うんですけど。でもさっき、先生がヴェルナーさんに渡した薬、あれはなんなんですか?フェニクス薬剤とは、色が違っていましたよね」 不安がまさに的中した。たしかに薬だと思って渡したんだけど。図鑑をパラパラめくって、リリーはやっと思い出した。前に作った、オリジナルの、効果の分からないやつだ! 「あー!どうしよう」 パニックになったリリーにヘルミーナが言った。 「早く様子を見に行くべきですよ!夕飯の用意は私達がしますから」 リリーはうなずくと、素早くおもてへ飛んで行った。 ヴェルナーになにかあったらどうしよう…! リリーは胸の押しつぶされそうな気持ちで、色彩の無くなってきた街を走った。こんなに雑貨屋が遠いと思ったことは、今までにない。親しんだ街の、見慣れたはずの風景が、どんよりとして寒々しいものでつつまれている。それは妙によそよそしくて、まるで別の世界になってしまった気がした。 雑貨屋のわきを通った小道の先に、ヴェルナーの家はあった。場所は知っていたが、入ったことはない。これまた爺さんが建てたという、緑にかこまれたひっそりとした家だ。普段のリリーなら、初めてヴェルナーの家をおとずれることをとまどっただろうが、今はそんなこと言っていられない。急いで入ろうとしたが、扉はカギがかかっていた。 「こんばんはー!」 返事はない。やはり、もう寝てしまったのだろうか。リリーは素早くカギの開いている窓はないかと探した。どこもかしこも閉まってる。 ヴェルナーってば、変なところが几帳面なんだから〜! どうにかならないかと上の階を見ると、一ヶ所窓の開いた所が見える。リリーはさっそく手近な木を登り始めた。しがみついた木から覗き込むと、どうやらそこは寝室らしい。中は薄暗くてよく見えない。リリーは気を落ち着かせようと一呼吸すると、枝をつたって窓から部屋にすべり込んだ。 いつのまにか、外はすっかり暗くなっていた。しかし、昼間はもったりと重かった雲はところどころ千切れて、そこからこうこうと、月の光がまたたいていた。一ヶ所だけ窓の開いたヴェルナーの部屋は、明かりがついておらず、夜の炭のような黒はその色を月明かりで薄めて部屋全体をつつんでいた。部屋のすみにあるベッドで、ヴェルナーは寝ているようだ。さっきまでの不安を忘れて、リリーはまだいつもの街の通りを歩いているような気がしていた。初めて入った人の家には、自分が普段いる場所との空気の違いを肌で感じるものなのに。なんだか通いなれたいつもの雑貨屋にいるのと同じみたい。それとも暗くてよく見えないからかもしれない。 「ヴェルナー」 リリーはそっと呼びかけた。静かに近づく。 「…寝てる、の?」 眠りかけのもうろうとした意識の中で、ヴェルナーはその声を聞いた。 「リリー…」 うわ言のようにつぶやく。その様子は、見たところ悪くなってはいないようだ。むしろ良くなっているように見える。リリーは安心と同時に気がぬけて、その場にへたりこんだ。 「よかった…ヴェルナーが、あたしのせいでなにかあったら…あたし…」 ヴェルナーは夢の入り口から急に現実へ引き戻された。不審に思って目を開けると、ベッドの下には月明かりの中、すわりこんで眼に涙を浮かべたリリーがいた。目の前の出来事が信じられず、ヴェルナーの細い目はさらに細まった。 「なにがあったんだ?」 「あ、あたしのあげた薬…飲んだ?」 おそるおそるたずねる。 「ああ…さっき、寝る前に飲んだ」 リリーは二の句がつけずに口をもぐもぐやった。 ヴェルナーはふたたび仰向けになり、目をつむったが、リリーはすぐにその場を離れる気になれなかった。なんともないただの薬だったみたいだけど、やっぱりもう少し様子を見ていかなきゃ。しかし、気がぬけたと同時に冷静になってきた。自分がまたもとんでもないことをしたと気づく。恥ずかしさで身のちぢむ思いだ。 いっぽう、ヴェルナーは眠りたいが眠れなくなっていた。リリーの唐突な行動に頭がいっぱいになっていたからだ。 まさか夜ばいに来たってわけじゃないよな…。 薄目をあけて様子を見てみると、心配そうな表情で自分の様子を見守っている彼女が見えた。真剣そのものの態度。リリーはいつもこうだ。真面目で一直線で、そしてそうやって起こす行動が良い結果を生むことを本当に信じている。 そう思ううちにヴェルナーの心は、なにものにも染まらない澄んだものになっていった。 「まるで夢だな」 気づくと、ヴェルナーはその瞳を開いていて、リリーにまっすぐ向き直っていた。その表情は今まで見たこともないほどの優しい微笑みを浮かべていて、そしてそれはどんな言葉よりもリリーの頬を赤くさせた。 ヴェルナーったら、どうしちゃったのかしら。やっぱりまだ熱があるのかな。 「心配して来てくれたんだろ」 「う、うん…」 「ありがとな」 いつになく真摯な態度。あたたかい表情と言葉。普段の様子とのあまりの違いにリリーはくらくらしながら「どうかしたの?」と思わず口に出した。 「やっぱり、まだ熱があるんじゃない?」 リリーはそろそろとベッドに近づき、ヴェルナーのひたいへ手をあてた。 「―おかしいわね、熱はないみたい」 そう一人つぶやくリリーに、ヴェルナーは手をのばした。 「きゃ!?」 その手は腰にまわされ、強くひきつけられて、リリーはヴェルナーの上に倒れこんだ。ヴェルナーはリリーの腰と背にまわした腕で力強く、でも優しく抱きしめた。 心臓の音がかさなりそう! 「いや!」 リリーは体を突き放し、立ち上がった。その顔色は薄暗い室内でも分かるくらい、すっかり青ざめている。 「リリー!」 ヴェルナーは起き上がり、近づこうとする。リリーはあわてて窓まで走り、木にぶらさがっておりようとしたが、バランスを崩して尻餅をついた。半べそをかきながらお尻をさすって立ち上がると、窓から顔を出したヴェルナーが叫んだ。 「悪かったっ」 リリーは首だけ振り向くと「あやまらないで!」と言いそのまま走り去った。 信じられない…!さっきのヴェルナーはなんなのかしら?やっぱり薬のせいなのかな…でもなんの薬だろう。優しくなる薬、とか? 走りながらも目まぐるしく思考は止まらない。 とにかく、あんなのヴェルナーじゃないわ! 雑貨屋も見えなくなるころになると、移動の速度は落ち、小走りから歩き、そしてのろのろ歩きへと変わった。リリーは知らずうち、倒れこんだ時のことを思い出していた。あの時はなにがなんだか分からなかったけど。今も思い出せる、あの時の自分の体の下に感じた、細くてかたい体。毛布越しではあったが、冒険者もしているヴェルナーの胸は思いのほかたくましく、リリーの胸は高鳴った。ヴェルナーの、いつもと違う顔を見た気がした。 後日、いろんな所から依頼のあった回復薬をすべて作り終えたリリーは、もう一度あの謎の薬を作ってみることにした。イングリドが自ら試してみると言ってくれたのだ。するとヘルミーナも、先生のお役に立ちたいんです!と申し出てくれた。 再び作られた薬瓶、材料はやっぱりあのくんにゃり木(仮名)と常備薬、少々の中和剤(緑)だ。その色は不透明な薄緑で、鈍く光っていて、しかもちょっととろっとしている。材料がなんでもなさそうな代わりに、見た目が怪しげなので、リリーは再びこの薬の効果を疑った。二人に向かって真剣な表情でうなずくと、それぞれの前に差し出す。しかしやっぱり飲むとなったら勇気がいるのか、少女達は目配せを交わし、躊躇していたが、とうとうヘルミーナがいっきに飲み干すと、あわててイングリドも目をつむって瓶の中身を口にあけた。 「イングリドったら、そんなに硬く目をつむったりして、もしかして…怖いの?」 イングリドはバチッと音のなりそうな勢いで大きな目をあけてヘルミーナをにらみつけた。 「何言ってんの、そんなわけないじゃない!」 しょうこりもなく始まったいつものケンカに、リリーはうんざりしながら止めにはいった。 「二人とも、やめなさ〜い!」 しかし、二人の耳にはその声は届かなかった。 「ひょっとして、リリー先生の作ったものが信じられないっていうの?」 見下したような表情でヘルミーナが言うと、イングリドは言葉に詰ってしまった。 「それは…ちょっとは…」 小声で白状する。 「あっ、ひどーい!」 「私だって、少し不安よ」 「ヘルミーナまで!」 思わぬ生徒達の発言に、リリーはうなだれた。しかし、しょうがないか…この子たちのほうが才能はあるんだし…となかば諦めてもいた。 「だいたい先生は産廃出しすぎなのよ」 「そうよね!」 二人は珍しく意気投合しているようだ。 「でも、私はリリー先生のこと大好き!」 イングリドは笑顔いっぱいでそう言うと、口をぽかんとあけたリリーに勢いよく抱きついた。 「私だって!イングリドなんかより、もっとずーっと好き!」 反対側からもヘルミーナが抱きついてくる。 「二人とも…」 巻きついた体から、優しくて温かい気持ちが流れこむ。リリーはしゃがみこんで二人を抱きしめ返した。失敗することもあるけれど、それでも好きだと言ってくれる二人が嬉しくて。 「先生、二人のためにも、もっと頑張るわ…!」 夕飯の時間、ゆげのたつアトリエに王宮へ行っていたドルニエが帰ってきた。四人で温かい食卓をかこんでいる時、ドルニエは微笑みながら言った。 「今日はどうしたんだい、二人とも?」 スープをすするイングリドとヘルミーナを交互に見つめる。二人はわけが分からず顔を見合わせた。 「何か変わった所がありますか?」 ヘルミーナが言った。 「うん、やけに素直じゃないかな。こんなに静かな夕食は久しぶりだ」 「そうですか?二人とも、いつもとってもいい子たちですよ!」 三人娘は顔をあわせにっこりした。リリーの様子はいつもと変わらない。 「リリー、今日は何をしたかね?」 パンを食べながら、ドルニエがたずねた。 「今日はオリジナルの薬を作って…そう、二人にためしてもらいました」 ドルニエは一人うなずくと、夕食を続けながら言った。 「そう、それだよリリー。それでこんなに静かな夕食になっているんだ」 「え?」 リリーは言葉の意味が飲み込めず、キョトンとドルニエを見つめた。 「たしかに今日はイングリドのバカでかい声がないわね。先生、あの薬は粗野をなおす薬だったんじゃないですか?」 「なんですって!」 イングリドが勢いよく立ち上がり、テーブルのスープがはねた。 「あっ、そういう所が粗野っていうのよ!ぜんぜんなおってなかったのね」 「あんたのほうこそ、その陰険さをどうにかしたらどうなの!」 あっという間にアトリエにいつもの喧噪が戻った。 「ほら…ね?これがいつもの夕食じゃないか」 落ち着いて言うドルニエに、リリーは一人そうかと気づき、いつもの声をはりあげた。 「二人ともっケンカはやめさな〜い!」 |
まぁ〜素直なヴェルナーを書いてみたいと思って… …あんまり上手くいかなかったという。 それに比べ、意図してなかったのに行動までサルっぽくなってしまったリリーさん…。 黒の乗り手が出てるってことは5年目以降なんだろうけど、この2人はまだラブラブになってません!ひえー。並み居るヴェルリリ創作の中でも最遅だろうと!まったく自慢できることではありません。 (03/12) |